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Lucy Rose [UK]


Like I Used to: Deluxe Edition

Like I Used to: Deluxe Edition

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Sony UK
  • 発売日: 2012/10/16
  • メディア: CD


  ジャケット買いしなさい、と言われているようなアルバムを発見。

  いかにもイギリスいう感じの緩やかな丘陵と曇り空の下に寝転ぶ彼女こそ
が新人女性 SSW の Lucy Rose です。 名前もかわいらしく、期待感は
いやおうにも高まったこのアルバム。 結論から言うと、ものすごく完成度が
高かったわけではないけど、今後の成長に期待の持てる新鮮なデビュー作品
でした。

  Rumer に近い感じかと思って、アルバムを聴いてみると、もっとはかなく
弱々しく、頼りなげなボーカルが全編を漂っていました。 口を大きく開けた
ことがないんじゃないかと思うような、ウィスパリング系と言っても言い過ぎでは
ないと思います。 そうした彼女のボーカルを活かすために練られたアレンジ
演奏はさすがといった感じですが、そうなると決定力の差は個々の楽曲の
クオリティに依存することになります。 

  ここで、すこし黙ってしまう感じ...それこそがこのアルバムの印象です。
冒頭の「Red Face」のバタバタした感じ、つづく「Middle Of The Bed」も、Kate
Bush が歌うんだったらいいけど、Lucy Rose でどうなの? という無理な
ことを承知で言う親父のような感想をもってしまいました。

  ただ、アルバムは後半になればなるほど、曲も良くなってきて、味わい
深まってきます。 心地よい疾走感のある「Place」、静かと動のコントラスト
が際立つ「Don't You Worry」、「First」と流れていくあたりが、このアルバムの
ハイライトでしょう。 ただ、あまりにも口数が少なくおとなしめのたたずまい
なので、好き嫌いは分かれるタイプのSSWであることに間違いありません。

  ライブが見たくなるタイプでもないし、ドライブに似合う音楽でもありません。
聴いているうちに、うとうとしてつい眠ってしまったというような、軽い関係が
似合うように思います。 

  この傾向で次に向かうのか、修正してくるのか、興味深い Lucy Rose の
ひっそりとしたデビューでした。

  ちなみにデラックス・エディションには4曲のボーナス・トラックが収録されて
いて、お薦めです。



Neil Halstead [UK]


Palindrome Hunches

Palindrome Hunches

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Republic
  • 発売日: 2012/09/11
  • メディア: CD


   この秋、最大の収穫ともいえる偉大な SSW アルバム出会いました。

   もとは、1980 年代の終わりから活動していたイギリスのオルタナティブ系バンド
Slowdive の主要メンバーだったという Neil Halstead の最新作は、清楚で気品の
あるアンティークな家具のような深い味わいに満ちた傑作でした。

  Neil Halstead のことは詳しく知らないまま、CD ショップの片隅で発見したこの
アルバムは、ペーパースリーブのジャケットの手触りが、そのままサウンドに結びついた
ような感触です。 ギターとボーカルの Neil を核としながら、曲によっては Paul Whitty
の淡いピアノ、Ben Smith の絹のようなバイオリンなどが、風景画の背景を描くかのよう
に輪郭を染め上げていきます。 そのなかで、消え去ってしまいそうな、はかない Neil
の歌声が、秋風のように耳の脇を通り抜け、この季節がゆえにもたらされる理由もない
物悲しさに包まれていきます。

  なんという空間でしょう。 始まりも終わりもない短編小説を呼んでいるかのような、
時間が静かに流れ、しらずしらずに過ぎ去って行きました。

  個々の楽曲が淡々と進んでいくために、何曲目がどうだとか、そんなことはこの
アルバムにはふさわしくないように思います。 
  ただ、あまりにもヒントがないといけないので、たとえば Duncan Browne の1969
年の名作「Give Me Take You」を持っている方ならば、間違いなくお薦めできる作品
です。 Nick Drake ファンにも向いていると思います。 近年では、このブログでも
取り上げたことのある Boo Hewerdine や David Lewis のサウンドに同じエッセンス
を感じます。 アメリカではなくあくまでも英国的ですね。

  最後にひとつだけコメントを。
このアルバムに関してのアマゾンのユーザーレビューがひとつありました。 このような
マイナーな作品に対してレビューを書かれるのはとても良いことだと思いますが、その
タイトルが「需要はあるのか」というのはちょっと残念でした。 また、「この手のカントリー
が好きな人なら...」という表現がありますが、それは誤解ですね。
  この音楽はカントリーではありません。 フォークもしくは SSW アルバムです。
さらに言うならば、英国特有のトラッド感もそれほど強くありません。 したがって、僕は
このレビューに対して「参考にならない」のボタンを押しておきました。



Martin Stephenson & The Daintees [UK]


California Star

California Star



  ただいま絶賛改装中の、タワーレコード渋谷店ですが、完全リニューアルの
前に洋楽フロアがオープンしていたので、ちょっと立ち寄ってきました。
  その際に買った2枚のうち1枚がこのCDです。

  Martin Stephenson の名前を聞いて、「なつかしい!」と思う人はごくまれ
なネオアコファンでしょう。 Prefab Sprout で有名な New Castle の Kitchen
Ware Records からデビューした彼らは、素朴でカントリータッチなサウンドで
一部のファンの熱狂的な支持を集めました。 ファーストBoat to Bolivia」に
収録されている「Crocodile Cryer」などは名曲として知られています。 アルバム
の完成度と名曲の多さでは、セカンドの「Gladsome, Humour & Blue」だと
思います。 バラエティに富んだ楽曲の数々はノスタルジックな香りに包まれた
まま永遠に輝くことでしょう。

  前置きが長くなりましたが、そんな彼らの最新作がこれ。 まだ活動して
いるとは思いませんでした。 本来なら、スルーしてしまってもいいほどだった
のですが、このジャケットとタイトルに負けて、ためらうことなく購入に至りました。

  このジャケットは、あの The Pale Fountains のデビューシングルジャケットに少し似ていると思いませんか? Twilight Records からのあの7inchです。
  そして、カリフォルニア・スターというタイトルも、なんだかズルい感じがしま
す。 内容が悪い予感をまったく与えません。

  で、サウンドはどうかというと、全盛期の彼らのたたずまいを秋のススキの
ように綺麗にかれさせたような雰囲気で、おおよそ予想通りのものでした。
Martin のダミ声も当時より年季が入った感じですが、悪くないです。 ゆったり
した楽曲が並んでいるために地味な印象はぬぐえませんが、タイトル曲の「
California Star」や「Silver Bird」などはメロディの良さが引き立っています。 
 
  このアルバムを手にした日本のファンがどれだけいるのかわかりませんが、
かつてのファンであれば、大道芸のあとにチップを渡すような軽い気分で
向かい合ってみるのも悪くないと思います。 日本に来ることはないのでしょうね。

  きっと。


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