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David Mead [USA]


Dudes

Dudes

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Pierian Recording Society
  • 発売日: 2011/11/15
  • メディア: CD


   David Mead の新譜が発売されているのを発見しました。 いつもは、発売から
半年くらいしてから気づくことが多いのですが、今回は我ながら早いと思います。

   しかし、まず驚いたのはこのジャケット。 David Mead はこんな顔だったのか、と
若干がっかりしつつ、よく見ると髪型が悪いんじゃないかと思うようになってきました。
これが Edwyn Collins の「Georgeous George」のようにカッコよく決まればよかった
のに、と思います。 タイトルが「Dudes」(気どりや)ですからコンセプトは間違ってい
ないと思うのですが。

   とはいえ、この堂々とした姿からは今までの彼にない自信が感じられ、それが
作風の変化につながっているのではないかという期待が徐々に湧いてくるのも事実。
実際に聴いてみると、信じられないほどにバラエティに富んだ音作りがなされており、
内省的でしんみりしていた David Mead 像はすっかりふっとんでしまいました。
   80年代の Squeeze が歌いそうな「King of the Crosswords」、幼児番組向けの
曲のような「Bocce Ball」、ほとんど70年代風のソウルアレンジの「No One Roxx This
Town No More」、こんなにアップテンポの曲は初めてだと思う「Knee-Jarek
Reaction」で聴くことのできるカラフルなサウンドは、まったく別人になってしまったか
と思うほどです。
   ただ、それが全部というわけでもなく、「I Can't Wait」や「Tell Me What I
Gotta Do」、「The Smile of Rachael Ray」のような清々しいサウンドもしっかりと収録
されており、ほっとした瞬間もしくは安らぎのひとときを味わうことができます。

  いずれにしても、過去の路線のままでは新たなファンの獲得も難しく、このまま
シーンに埋もれていってしまうことを恐れたのでしょう。 この方向性はミュージシャンと
して悪いことではありません。 こうして何度も聴いてみると、新たな側面と本来の持ち
味を交互にならべた曲順などもかなり意識された感じがあり、David Mead の新たな
リスタートを祝福し、応援したくなるのです。


Ryan Adams [USA]


Ashes & Fire

Ashes & Fire

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Columbia
  • 発売日: 2011/10/18
  • メディア: CD


   今年の秋は大豊作です。 すでに、Wilco、The Jayhawks、そして Joe
Henry と立て続けに渋いアメリカン・ロックを紹介してきましたが、今日は取り上げた
Ryan Adams の新譜は、それらを凌駕する今年最高の SSW アルバムとなりました。

  前作「Easy Tiger」から4年ぶりとなる「Ahes & Fire」は、前作のような自信みな
ぎるロック路線から一転、内省的なフォーク路線となっています。 この変化をどう受け
とるかはリスナー次第ですが、個人的には、Ryan Adams の感情を押し殺したり、情念
が漏れ出たりするボーカルの上手さに完全に参ってしまいました。 こんなに歌が上手い
といは本作を聴くまで気がつきませんでした。

  オープニングの「Dirty Man」、つづくカントリー風ワルツ「Ashes & Fire」、繊細な
バラード「Come Home」と、ゆったりとした時の流れの中で、極限までそぎ落とされた
シンプルでアコースティックなサウンドがゆるやかに蛇行していきます。  バック陣は
Benmont Tench のハモンド、Norah Jones のピアノ、Gus Seyfert のベース、
そして Jeremy Stacey のドラムスが主軸となり、曲によりストリングスが加わって
くる構成できわめて素朴で、まるで焚火のまわりでセッションしているかのような
リラックスした雰囲気も感じつつ、しんとした冷たい空気感が同居しているという
イメージです。

   ほとんどの曲が抑揚の効いた 70 年代風フォークのようなサウンドなので、おそらく
若いファンからは中盤あたりで敬遠されてしまうかもしれません。 しかし、この音に
繰り返し接することで、はじめて遠方に見えてくる新しい世界のことを忘れてはいけま
せん。 それは蜃気楼か幻かもしれないし、もしかすると希望の町かもしれないの
です。  Ryan Adams がついにたどりついた境地を、彼とともに共有するには、この
アルバムを繰り返し繰り返し聴き続けることでしょう。 それはある意味、修行のような
行為に思えるかもしれませんが、無理やり向き合う必要はないと思います。 仕事
をしながら、本を読みながら、通勤途中でヘッドフォンで聴く、といったいろんな聴き方
を受け入れてくれるアルバムだと思います。 

   ラストの 3 曲がまたしびれます。 心のひだを炙り出すような「Kindness」の素晴ら
しさ。 「Lucky Now」の枯れた味わい、そしてラストの「I Love You But I Don't
Know What To Say」で描きだされた喪失感には、短編小説の読後感と似たものを
感じます。  

   このアルバムは、才能あふれる大物ミュージシャンであることは誰もが認める Ryan
Adams がついに到達したひとつの頂点でしょう。 この秋、最大の収穫といえるアルバム
です。



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