So-net無料ブログ作成
検索選択

Joe Henry [USA]


レヴァリー

レヴァリー



   MUSIC MAGAZINE 誌の年間ベスト10の常連にして、コアな音楽通を毎回唸らせ
ているが、そのホットスポットから放れると、全く無名といってもおかしくない Joe Henry
の新作が発表されました。 多くの評論家が言及しているとおり、現代アメリカの SSW
界において最も異彩を放つミュージシャンであり、まさに鬼才ともいえる Joe Henry です
が、このアルバムが、また前作とは違ったシンプルさをたたえながらも、素晴らしい作品
に仕上がっています。

  Joe Henry の音楽は、もしTom Waits が 1970 年中盤にダミ声に変声しなかった
ら、こんな音楽を奏でていたに違いないと思わせるもの、と勝手に解釈しています。 
よって、すでに近年の Tom Waits は僕の興味の重力からは、軌道を放れて行ってしま
っています。

  Joe Henry のギター、ボーカルに加え、Keefus Ciancia のピアノ、David Pitch の
アップライトベース、Jay Bellerose のドラムスという4人が基本編成で、曲によっては
Marc Ribot などのおなじみのゲストが参加しているというスタイル。 ここ数年の作品
のなかでは最もシンプルで音数が少ないような印象を受けます。 比例して前面に出て
いるのが、渋さをより増した感のある Joe Henry のボーカルです。 歌というよりも、
ストーリー・テリングのように聴こえる曲もあったりして、そこを引き立てているのは、Jay
Bellerose の乾いたスネアの音ですね。 デジタル時代のいま、このような音をどのよう
な機材でレコーディングしたのか気になりますが、小劇場でお芝居を見ているような
錯覚におちいるほどの、近距離さを感じます。 そのあたりは、Joe Henry がプロデュ
サーとして培ってきた才能の蓄積なのでしょう。 音の魔術師、というと陳腐に響きま
すが、まさにそんな感じなのです。

  本作「Reverie」には音楽以外に重要な要素があります。 それはNotes (Life
Beyond Trembling) と題された短編小説のようなものです。 国内盤の解説では
「手記(震えの先にあるもの)」とあるこの文章は、それだけで独立した存在となっており
、これも含めて「Reverie」がひとつの作品なのだということを感じます。 デジタルで
データだけ入手するわけにはいかない、パッケージの魅力がここにはあります。  
英語の理解力のない僕のような人間には国内盤での訳が、今回はとても重宝しま
した。

  このアルバムを両親に捧げると明記した作品。 近年の Joe Henry の創作活動
の充実度を感じるのは毎回ですが、今回は、そこから放たれた鬼気迫る人間力に圧倒
される気がしました。


nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この記事のトラックバックURL:
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。
メッセージを送る

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。